次の世代もこのような治療が受けられるのかと質問されて・・・

 昨日に患者さんから突然、「先生のところはお弟子さんを置くとかしないんですか」と質問されました。今年に入ってから来院され始めた方なので、過去にはたくさんの弟子がいたことを知らなかったのです。

 「希望者がいれば常勤で入れたいのはやまやまなんですけど、最近の学生は開業を希望しないというかリスクを背負いたくないという傾向なので、下積み修行という発想をしないみたいです」と正直に答えたところ、それはなんとも残念という反応でした。

 なぜそのような質問をとこちらから聞き返すと、「こういう地域の人達を診療してくれる鍼灸院が他にあるのか、娘たちが将来このような治療を受けることができるのかが気になったから」ということです。今はこの鍼灸院があるので安心していられるのだが、世代が変わっても同じように安心できるのかということだそうです。

 実はこの言葉を聞いて、私は感動と反省を同時にしていました。後輩の育成が十分になされていない現状、我々の世代でこの技術を途絶えさせてはいけないのですけど大勢いる同世代でもこの技術を選択した鍼灸師は少なく、それが免許発行部数こそ伸びたものの選択してくれる人はもっと少なくなっていて開業も希望していない、これは危機的状況です。

 鍼灸師が本当に鍼灸の技術を100%発揮させるには、開業をすることであり地域医療の一番望まれている姿だと学生もわかっているはずなのですけど、安易な入り口しか考えていないことは情けないですね。そしてその変革ができない現役で開業をしている我々も。自分の臨床室で好きな治療をしていることほど、楽しく生きがいを感じることはないのですけどねぇ。